杉並区内に在住・在勤のマンション管理士の団体です
 

平成23年10月15日 マンション管理セミナー
解決!マンション大規模修繕  ~あなたのマンションにも起こり得る4つのケース~


講師 建物診断センター代表 一級建築士 澤田博一


大規模修繕の際にどこのマンションでも出会う難問の解決策をコンサルタントとして豊富な業務実積をもつ、
澤田博一氏に話していただきました。
今回は、代表的な4つのケースについてのアドバイスです。

 

【事例1】 ただやみくもに施工業者から見積を集めてはみたが、金額に2倍以上のひらきがあり、どこにしたらよいのか決めかねている。

これは昭和58年に竣工した墨田区の8階建て56戸のマンションの事例です。当初、このマンションでは、大規模修繕を理事会だけで進めていました。理事会には、17の工事会社から見積が提出されましたが、戸当たり金額が40万円のものから100万円を超えるものまであり、開きが大き過ぎるため、理事会はその後の進め方をどうしたら良いのか分からなくなってしまったというのです。
このケースの問題点は、何も条件を詰めないで見積を依頼したことです。工事会社によって、使う材料も違いますし、工事範囲についての考え方も違いますから、大規模修繕工事の条件を詰めなければ、各社の見積を比較検討することは困難です。このマンションの管理組合の場合は、振り出しに戻って、専門委員会を設置し、調査診断会社を選考して、総会で建物調査と修繕設計の予算承認を取ることにしました。大規模修繕工事を進める際は、建築設計会社など、プロの第三者に依頼して、見積のための仕様書や数量計算書を作成することが大切です。同じ条件で見積を依頼するによって、はじめて、各社の比較をすることが可能になります。




【事例2】 設計・監理を設計事務所の「先生」に頼んだが、すっかり振り回されて疲れ果ててしまった。

竣工が昭和59年、横浜市中区にある9階建て65戸のマンションの事例です。
このマンションでは、最初から設計監理方式で大規模修繕工事を進めることにし、業務報酬金額約400万円で、地元の設計事務所とコンサルタント契約を結びました。しかし、コンサルタントの一級建築士の「先生」が土日の打合せはいやだと主張したためにスケジュール調整がうまくいかなかったり、発注者の意見を無視して自分で勝手に決めるなどの事態が続いたため、コンサルタント契約を解消することになってしまったというのです。
コンサルタントを選ぶ場合には、複数の候補をピックアップし、ヒアリングを経て相性の良い所を選ぶことが大切だと思います。このマンションの場合、幸いにも良きホームドクターを選び直すことができ、日常管理の相談にも乗ってもらっているということです。


【事例3】 下地補修工事の数量が大幅にふえ、その対策をめぐり頭を痛めている。

次は、竣工が昭和56年、千葉県船橋市の5階建て10棟250戸のマンションの事例です。
設計事務所に調査診断と概算工事金額の算出を依頼したところ、修繕積立金では不足することが分かったため、公的借り入れをすることにしまた。厳しい財政状況にある中、工事開始後、事前調査では分からなかった問題が発生し、費用が更にかさむことがわかりました。下地補修箇所が続出したため、全体工事金額が4%も増加することが分かったのです。管理組合の理事会は、管理費会計の余剰金を繰り入れる案を決定し、臨時総会を開催して予算変更の承認を求めましたが、臨時総会が紛糾したため、計画自体が立ち往生することになってしまったというのです。
そもそも、下地補修の量の推定は難しく、正確につかもうとすると、ゴンドラを吊ったり、足場を組んだり、調査費が割高になってしまいます。ですから、下地補修工事の費用は、推定金額で契約をし、工事終了後、実費精算するのが合理的だと考えます。そのため、工事総額の10%程度の予備費を見込んでおくのが良いのではないでしょうか。更に、その支出権限を理事会に付与することも合わせて総会決議しておけば、機動的な対応をとることができます。


【事例4】 頭金を払って工事を開始したが、途中で施工会社が倒産してしまった。

昭和56年に竣工した東京都日野市の7階建て48戸のマンションの事例です。
管理組合は、設計事務所の監理のもと大規模修繕工事を始めましたが、ある日、施工会社が寝耳に水で倒産してしまいました。コンサルタントを依頼し、相見積合わせもして慎重に施工業者を選んだにもかかわらず、思わぬ事態となってしまったのです。
この管理組合が救われたのは、請負契約の中に完成保証が入っていたことです。完成保証とは、施工会社に万一のことがあった場合、第三者の連帯保証会社が施工を継続し、工事を完成させる契約です。連帯保証会社には、同規模の施工会社がなることが多いのですが、3年ぐらい前から団体で完成保証する制度も普及してきました。(主なものに、一般社団法人マンション計画修繕施工協会の「MSK完成保証制度」やNPO全国建物調査診断センターの「マンション大規模修繕完成保証制度」があります。)安心して大規模修繕を進めるためには、施工会社の信用状況を調べると同時に、完成保証措置を徹底することが大切だと思います。



 

 

 

 


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