杉並区内に在住・在勤のマンション管理士の団体です
 

平成27年7月4日 マンション管理セミナー
「マンションにおける騒音問題」~あなたも加害者かも知れない~


講師:NPOマンション談話室ウィン・ウィン 代表理事 今津賀昭 氏

生活音による騒音問題は、長い間居住者同士のトラブル原因の筆頭であり続けています。裁判にまで発展する例も少なくはありません。その判例におけるキーワードは「受忍限度」というものなのですが、音に対する感受性の違いや、住民同士の普段からの関係性といった個別の要素も加わり、多くのマンションで不毛な争い事が繰り返されているように思われます。今回のセミナーでは、この騒音問題の論点・争点をはっきりとさせる「数値化」の手法を紹介し、トラブルを未然に防ぐ方策について皆さんとご一緒に考えました。

例えば、住民から部屋のリフォーム申請があって理事長が新しい仕上げ材等について判断・承認をする時、 あるいは住民同士に起こった騒音トラブルの仲裁に入らざるを得ない時(理事長の本来業務ではありませんが‥)など、その時の理事長の判断に何らかの客観的指標があったらよい‥とは思われませんか?
 マンションでの騒音問題が裁判になった時、判決文に必ず出てくるのは「受忍限度」という言葉です。人によって異なりそうな我慢の限界点‥? 今回の話は、そういった「判断の境い目」のシーンに寄与する、客観的指標(数値)作りの話です。

マンションで起こる音にはどんなものがあるか

1 空気伝播音[隣戸との戸境壁、サッシ等を通じて伝わる、声や楽器等の音など](Dで表記)
現況のマンションの戸境壁厚はほぼ150mmが確保され、またサッシの遮音性能も進化しており、 問題になるケースは多くないのではないか。

2 固体伝播音[床や壁などへの衝撃となって伝わってくる、物の落下音や足音など]
マンションの騒音問題ではこちらのケースが多く、今回扱うのもこの音。

固体伝播音はさらに二つに分けられる。
●軽量床衝撃音(LLと表記される、軽いものの表面的な落下音やスリッパのペタペタ音など)
  →床仕上げ材の仕様と深く関係
●重量床衝撃音(LHと表記される、床スラブまで伝わる重量物の落下音や人がとびはねる音など)
  →1.床コンクリート厚 2.区画された部屋の面積の大小 3.梁の有り無し 等が関係



床遮音等級の計算

1 重量床衝撃音=LH値を求める
1 部屋の縦横比の計算
2 部屋の面積の計算 
3 スラブ圧の確認(断面詳細図による)
4 大梁、小梁、梁なし等による補正を行う
上記を、遮音等級計算図表に当てはめて値を得る  【参加者はその場で演習をしました】

2 軽量床衝撃音=LL値を床仕上材から推定する
3 空気伝播音=D値については戸境壁厚150mm以上で有ればD-50と推定。
上記によってマンションの遮音等級が求められる
特級(特別仕様)、1級(推奨)、2級(標準)、3級(許容)‥など。




求められた遮音等級ごとに対応(生活指針)を検討

得られたデータ(D値、LL値、LH値)のうち、一番悪いものを念頭にマンション住民に通知、自分たちのマンションで守るべき生活指針を検討し啓蒙する。※日本建築学会編「建築物の遮音性能基準と設計指針(第二版)」の遮音等級ごとの対応例を参照。
自分たちのマンションの状況を皆で認識しあって、注意して住まおうという取り組みが管理組合の活性化にもつながる。

【告知文例】我がマンションの「遮音性能」は計算の結果「等級3級」でした。 これは「お互いに我慢しあって生活のルールを守る必要がある」レベルです。
よって皆さん‥



床仕上材の性能が軽量床衝撃音(LL)や重量床衝撃音(LH)に与える影響
※日本建築総合試験所調査による

1 軽量床衝撃音(LL)についての改善
パイルカーペットの直張りは軽量床衝撃音の改善量が大きい。改善型直張りフローリングの改善量はパイルカーペット直張りの改善量下限値に近い(パイルカーペットから改善型直張りフローリングL45等への張り替えについてのクレームは少ないと思われる)。
ただし、例えばパイルカーペット直張りから、乾式二重床下地フローリングの支持脚ゴムなしまたは小への張り替えについては下階からクレームが出る恐れがある。

2 重量床衝撃音(LH)についての改善
仕上材による、重量床衝撃音への改善はほとんど望めない。ただし、乾式二重床フローリング(床下地改良型)と乾式浮床フローリング(床下地改良型)で、わずかに改善が得られるものもある。
一般に、重量床衝撃音(LH)に関して竣工後に向上させることは厳しく、マンションがそもそも持った遮音性能下で皆がどのように生活すべきかを考えるべき。



一定の遮音等級下で騒音を出さない「気配り」

本建築学会編「建築物の遮音性能基準と設計指針(第二版)」の日常の住まい方調査(1992~1993年)による23項目での自己チェック‥



「この音」が気になる  ※民間分譲マンション5団地のアンケート調査による

・下階住戸からの、上階住戸の騒音に対する指摘が圧倒的に多い。
・床衝撃音(とびはねる音、走り回る音、室内の足音)で、上位3位までを占める。
・給排水系騒音(特にトイレの給排水音)が第4位に登場。



【最後に】

これまでマンションにおける騒音の問題は、「日頃から仲良くしていれば‥」等々、心理的な話ばかりでした。
今回のセミナーは、床スラブ厚や部屋の広さ、仕上材の性能といった「物」から導き出される「遮音等級」という数値を提示することによって、騒音問題の論点・争点をはっきりとさせるという方法をご提案したものです。









 

 

 

 


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