1.「理事会」「理事長」とは
(1)理事と一般の管理組合員との関係は、民法における「委任」の関係にあります。
(2)「理事会」は管理組合の「業務執行機関」です。
(3)「理事会」の互選によって選出される「理事長」は、区分所有法上の「管理者」に
あたり、権限及び義務の適用を受ける、管理組合の「代表者」です。
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一般の組合員、管理会社、マンション管理士等の外部アドヴァイザー等とのネットワークを確立・活用して、「理事長」や「理事」の負担が重くなりすぎないようにすることが重要です。
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2.第1回目の理事会で行うこと
(1)一年間の定例理事会開催日の決定(役員が出席しやすい曜日や回数を決定します)
(2)役員及び管理会社との役割分担の確認(理事会が活動の主体であることを確認します)
※管理組合と管理会社との関係は、「委任」と「請負」の混合契約と言われます。
事務管理業務→委任契約 管理員業務、清掃業務、設備管理業務→請負契約
(3)理事長等の担当役員の選出(理事間の互選により理事長や会計担当理事etc)
(4)理事会の役割・実務の具体的内容確認(理事会運営の共通認識を確認します)
(5)規約・細則・年度事業の確認(管理会社の業務チェック、事業計画の遂行確認もします)
(6)支払関係資料の回覧方法等の確認(支払承認ルール、関係資料の回覧方法を決めます)
(7)役員間の連絡方法を確認(メール・電話・FAX・携帯・訪問連絡票等です)
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3.第2回目以降の理事会で行うこと
(1)定例議題の検討と決定(多くは、管理会社からの報告連絡事項です)
- 管理業務報告
- 収納状況
- 収支状況
- 年間作業予定の確認と遂行状況
- クレーム、事故報告
- マンション点検報告
(2)懸案事項の検討
(3)会報の作成
(4)議事録の作成
(5)次回総会の議案書作成(長期修繕計画を視野に入れた事業計画が必要)
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4.理事会活動の基本サイクル
5.理事会の事務のポイント
(1)出席理事数の確認 → 半数以上の出席が必要です。
(2)監事の出席 → 出席と発言は可。議決権はありません。
(3)議事録の作成・保管 → 書記担当理事や保管場所を決定します。
(4)議事録への署名 → 議長(理事長)及び2名の理事が署名・捺印します。
(5)議事録の写し → 管理会社にも渡し、保管させます。
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6.年間活動スケジュールの作成について
(1)会議開催(定例理事会・次回総会(議案書作成、監事の会計監査を含みます)
(2)管理委託契約更新(重要事項説明、管理事務の報告会‥)
(3)火災保険、その他の契約の更新
(4)設備点検計画(消防設備、貯水槽、排水管清掃、建築設備点検、水質検査、植栽管理、
定期清掃、
特別清掃、その他設備点検)
(5)消防訓練、消防計画変更届
(6)自転車登録、不要自転車整理
(7)修繕工事
(8)その他活動計画含めた年間予定表を作成
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7.旧役員から新役員への引き継ぎについて
(1)理事長印の引継ぎ(引継ぎ書を2部作成し新旧理事長は各1部ずつ保管します)
(2)管理報告書(前年度分の説明、過年度分は保管場所を示し新理事に内容を確認して
いただきます)
(3)理事会議事録(前年度分を説明、過年度は保管場所を示し新理事に内容を確認して
いただきます)
(4)管理室の鍵の引継ぎ
(5)その他の管理書類
(6)新旧合同理事会を開催
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理事会の継続性を担保し、一貫した運営が行われるために、役員の任期を2年と定め、半数が交代するシステムを推奨します。また、次善の策として、前理事長(または副理事長)が翌年度の監事となるシステムや、前理事長(または副理事長)が翌年度の顧問や相談役となるシステムなども考えられます。
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8.管理会社からの報告について(しっかりと報告させるために以下のチェックが重要です)
(1)収納状況
(2)収支状況
(3)各種設備点検報告
(4)特別の来訪者
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(5)不具合箇所
(6)苦情・トラブル
(7)来月の予定(修繕、点検など)
(8)懸案事項経緯 |
上記内容を月ごとに1冊の「管理報告書」にまとめて提出させ、説明を受けることが肝要です。
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9.マンション管理士の活用(外部のプロを起用し管理会社へのけん制を)
(1)管理経費の削減
(2)理事会運営へのアドバイス
(3)管理会社の選定へのアドバイス
(4)管理委託契約書のチェック
(5)管理会社の指導
(6)管理規約の見直し
(7)未収金対策の指導)
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10.引継ぎ、保管が必要な管理に関する書類
(1)竣工図面(新築・修繕・改良)
(2)施工業者リスト(新築・修繕・改良)
(3)近隣との協定書等
(4)施工会社から引き継ぐ保証書等
(5)管理規約原本・議事録・会計帳簿類
(6)各種届出書
(7)管理組合運営上の各種書類
(8)見積書・契約書
(9)長期修繕計画書
(10)カタログ・取り扱い説明書
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11.修繕に関わる問題(権利関係による取り組みの違い)
(1)共用部分(総会で事業計画として承認)
(2)共用部分の内、専用使用部分(バルコニー、サッシ、玄関扉等)
(3)専有部分(原則自己責任での修繕も‥他者に影響がある給排水管工事は?)
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12.共用部分修繕工事の手順
(1)長期修繕計画の確認
(2)現況の確認
(3)翌年度修繕工事案の作成
(4)翌年度修繕工事予算案の作成
(5)理事会での審議
(6)総会へ議案として上程
(7)翌年度新理事会が施行
(8)長期修繕計画にフィードバック
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13.専有部分の改修
(1)各区分所有者が理事長に回収内容について図面を付して申請
(2)理事長は理事会の決議を経て承認、または不承認を決定
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原則、各区分所有者の判断に基づき、理事会の承認を得た後自己負担で実施されるが、不具合があると他者への影響が大きく、共用部分と同時に行うことが効率的でもある給排水管の改修について、管理規約の改正等を経て、管理組合主導での実施も検討
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14.理事会での決定事項の実行と広報
(1)理事の職務を内容別に分解し、各担当理事から理事会での決定事項を基に管理会社へ
指示をする。
(2)広報担当理事を置き、業務施行状況、クレームとその処理、修繕工事、近隣情報等に
ついて、文書の配布や掲示を行う。
(3)理事長は上記の活動を指示統括する。
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