第25回「年に一度の通常総会」 ~まさかこんなことが私たちのマンションで起こるなんて~

第25回「年に一度の通常総会」 ~まさかこんなことが私たちのマンションで起こるなんて~

出演:杉並マンション管理士会会員

通常総会はマンション管理組合の最高意思決定機関です。しかしどんなに注意深く運営されている管理組合でも、実際の総会では思いもかけない出来事や結果に遭遇することがあります。今回は、私たち杉並マンション管理士会会員が総会の出席者に扮して演ずる模擬通常総会をご覧いただき、総会の運営にあたって思わぬことが起きたときなどにはどのように対処すべきかを、ご一緒に考えていただきました。 事業報告書の作成の仕方、管理会社との関係、予算と事業の執行、理事のなり手不足やコミュニティ形成の問題は、皆さんのマンションでも切実な問題であり、当日は模擬総会後に活発な質問やご意見をいただくなど、大変熱気あるセミナーとなりました。

第1号議案(事業報告及び決算報告の承認の件)

1.一般の組合員にわかりやすい事業報告書のあり方

組合員に開かれた会計とするため、外部業者と交わした契約の相手方や期間、各修繕工事を「修繕関係」として独立させるなど、工夫が必要です。

2.「監事」業務の重要性

標準管理規約(41条)には「監事は管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、総会に報告しなければならない。」と明記されています。理事会に出席し適切に執行がなされているかの確認をし、総会に於いても財産に関わる報告の他に「業務監査」に関わる報告をするなど、重要な役割が期待されています。

第2号議案(管理委託契約の更新の件)

1.管理委託契約書における長期修繕計画の扱いの件

平成22年国交省が改訂した標準管理委託契約では、長期修繕計画の作成はその重要性に鑑み、別個の契約にすべきことを原則としていますが、実際の管理委託契約に於いては、うやむやなことが多く、注意が必要です。

2.管理会社の姿勢

杉並マンション総会では住民の不満が爆発‥

3.管理委託契約継続の否決と暫定委託契約の件

管理委託契約の継続が否決!このマンションの管理はどうなるのか!

第3号議案(事業計画案お呼び予算案の承認の件)

1.予選案における「予備費」の考え方

標準管理規約58条(収支予算の作成及び変更)第2項において、理事長が急な支出のために予算を変更するには臨時総会の議決が必要とされていますが、急を要する軽微な支出のために総会を招集することは負担が大きすぎる為、理事会の「手持ち枠」として、同条3項の規定に従い設定するものです。

2.事業計画の一部が否決された際の予算案承認の件

杉並マンション総会でこんな意見が‥

総会に於いて事業計画の一部(当総会に於いては管理会社委託契約継続の否決)が否決され、結果、将来的に予算の変更が予想される場合であっても、とりあえず原案に基づいて予算の決定をし、管理者である理事長に予算範囲内での支出執行権限を付与しておくことは便宜上必要。将来、事業計画の変更(管理委託契約の新規締結等)が臨時総会に於いて決議された際に予算を修正するなど、現実的な対応を考えるべきです。

第4号議案(役員選任の件)

総会当日突然の立候補!5名の規定に6名の理事‥

1.当日の立候補の扱い

事前に根回しをして用意した新規役員案の他に、当日突然の立候補を認めないとするためには、合理的根拠が必要。いずれにせよ、運営においてはっきりしない点は組合員の意思決定によるべきであり、総会の場では皆に諮るのが適当です。

2.理事定数と管理規約の件

役員への成り手が不足する中、積極的に協力したいという方に応えるなど弾力的な対応ができるよう、理事の定数には幅を持たせた規約の制定が有効です。

3.管理組合員の責任とコミュニティ、専門委員会設置の件

杉並マンション総会は非常に前向きな提案が採択され幕を閉じました‥