第27回「弁護士から見た管理組合運営」 ~役員の選任・専有部分給排水管修繕・窓サッシ等の修繕~
講師:弁護士 篠原みち子
分譲マンションの管理組合で生じる様々な問題点。そのすべてについて住民の話し合いがなされ皆が納得した上で良好に運営されていれば問題ありません。しかし現実には、さまざまな個別の事情や背景を持つ住民の意見が完全に調整されるのは大変難しいことです。それゆえに「区分所有法」があり、「管理規約」の整備、見直しが叫ばれています。今回のセミナーでは、マンション問題に大変詳しく、国交省等の取り組みにも委員として数多く協力されておられる篠原弁護士に、標準管理規約の条文や過去の判例を示していただきながら、お話を伺いました。
1.理事、理事会に関する問題
(1)役員の資格と役員選任の仕方について
- 役員の資格
- 標準管理規約が定める役員の資格(35条2項)
- 区分所有法の限定なし
- 立候補
- 輪番制
- 役員をやらない人、やれない人に対する対応
最高裁判所平成22年1月26日判決
- 役員をやらない人、やれない人に対する対応
(2)理事会運営について
- 理事長又は他理事への委任状
- 持ち回り決議
- 配偶者等の出席
- 最高裁判所平成2年11月26日判決
標準管理規約53条関係コメント
- 最高裁判所平成2年11月26日判決
2.給水管更新等工事に関する問題
(1)標準管理規約が定める給水管の区分と工事等に関する内容
- 給水管の法律的性質
- 7条3項、別表第2
- 最高裁判所平成12年3月21日判決
- 本管と枝管の一体工事と費用
- 21条2項、21条関係コメント
- 修繕積立金の取崩し事由
- 28条1項
(2)管理組合の実際の取組みと問題点
- 管理規約を改正すれば修繕積立金を使えるか
- 自治規範としての効力が認められるか
- 仮に認められるとしたらどのような場合か、また認められるとした場合の検討事項
- どのような場合に認められると考えてよいか
- 枝管の法律的性質
- 修繕積立金の負担割合と枝管工事費用の関係
- 自費で工事した組合員、入居を拒否する組合員への対応
- 枝管工事の瑕疵、漏水事故の責任
- その他
3.窓サッシ等開口部の修繕等に関する問題
(1)標準管理規約が定める窓サッシ等の区分と工事等に関する内容
- 窓サッシ等の法律的性質
- 7条2項、別表第2、14条、別表第4
- 窓サッシ等の修繕等の工事と費用
- 47条2項、22条1項、2項、28条
(2)管理規約で窓サッシ等を専有部分と定めている場合の対応