第35回「改正標準管理規約どこが違うの?」 ~あなたのマンションの未来像と規約の考え方~
講師:一般社団法人杉並マンション管理士会 会長 田村晃清
①外部の専門家の活用
理事長を含む理事及び監事について、これまで区分所有者に限定していたものを、選択肢として外部の専門家も就任可とし、利益相反取引の防止、監事の権限の明確化等の所要の規定を措置。
(全般関係コメント、第35条~第41条、別添1等)
第35条(役員)
第2項…理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。
第35条(役員)
第2項…理事及び監事は、総会で選任する。
第37条の2(利益相反取引の防止)
第38条(理事長)
第40条(理事)
第41条(監事)監事の権限の明確化
1.理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型
- 理事会を設け、理事会役員に外部専門家を入れるパターン
- 外部専門家が理事長(=管理者)となることも想定
- 外部専門家を含む役員の選任を含め、総会の役割は重要
2.外部管理者理事会監督型
- 外部専門家を管理者として選任し、理事会は監事的立場となり外部管理者を監視するパターン。
- 監視する立場の理事会の役員に、さらに別の外部専門家を選任するパターンも考えられる。
- 外部管理者の選任を含め、総会の役割は重要
3.外部管理者総会監督型
- 外部専門家を管理者として選任し、理事会は設けないパターン。
- 区分所有者からは監事を選任して監視するとともに、総会が監視するものであり、総会の役割は重要。
- さらに。監査法人等の外部監査を義務付ける。
②駐車場の使用方法
駐車場が全戸分存在しない場合における入れ替え制などの公平な選定方法、空きが生じている駐車場の外部貸しに係る税務上の注意喚起等の解説を追加。(第15条関係のコメント) 本文は変更なし!
第15条(駐車場の使用)
コメント:外部貸しのみが課税対象にとなるよう「駐車場使用細則」「駐車場契約書」に配慮が必要。
区分所有者を優先する条件で、外部貸しする。
③専有部分等の修繕
専有部分の修繕は、理事会の承認等を得て実施可能とする。
(第17条、第21条、第22条、別添2等)
第17条(専有部分の修繕等)
第21条(敷地及び共用部分の管理)
第22条(窓ガラスの改良等)
理事会で承認、不承認の判断できる?
実態は
1.無届けで工事をしてしまっている。
2.管理員に届けて、管理員が承認している。
3.届を受けた管理員が理事長に回して、理事長は深く吟味もせずに承認している。
4.管理会社の「大丈夫だと思います。」の意見で、理事長は承認している。
解決案
1.いつまでに届出を常時エントランスに掲示して周知する。
2.禁止工事と、チェックシートを細則で定める。
④専有部分の給排水管の更新工事は?
規約の変更は無いけれど、専有部分の給水管・排水管・給湯管の更新工事は、管理組合の負担で実施するケースが増えていますので、その場合の管理規約について以下の提案をします。
(敷地及び共用部分等の管理)
第21条 敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の管理のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。
2 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。
しかし、第1項のように管理組合がその責任と負担においてとなっていないため、結局管理はできるものの管理組合がお金を捻出することは出来ない条文となってしまっている。
マンション標準管理規約第21条(敷地及び共用部分等の管理)第2項の次に下記4項を加えることを提案する
3 専有部分の給水管・給湯管又は排水管の更新工事を含む管理は、区分所有者がその責任と負担において行うものとする。
4 専有部分の給水管・給湯管又は排水管の更新工事を行った区分所有者は、その旨を管理組合に届け出るものとする。
5 管理組合は、一定の時期に、専有部分の給水管・給湯管又は排水管の更新工事について、総会の決議を経て管理組合がその責任と負担においてこれを行うことができるものとする。
6 前項において、管理組合が行う更新工事をすでに実施した区分所有者に対し、公平の観点から応分の工事費相当額を総会決議により支出することができるものとする。
⑤暴力団等の排除規定
暴力団の構成員に部屋を貸さない、役員になれないとする条項を整備
(第19条の2、第36条の2等)
第19条の2(暴力団員の排除)
第36条の2(役員の欠格条項)
第12条(専有部分の用途)
昨今の民泊問題等、民泊禁止・ウイークリーマンション禁止、シェアハウス禁止等の条文をこの条に追加しては?
⑥災害時の場合の管理組合の意志決定
緊急時における補修などの保存行為は理事長が単独でできることとし、また、理事会決議で応急的な修繕工事を行うことができるとした。
(第21条、第54条等)
第21条
(敷地及び共用部分等の管理)
第3項
区分所有者は、第1項ただし書の場合又はあらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けた場合を除き、敷地及び共用部分等の保存行為を行うことができない。ただし、専有部分の使用に支障が生じている場合に、当該専有部分を所有する区分所有者が行う保存行為の実施が、緊急を要するものであるときは、この限りでない。
第6項
理事長は、災害等の緊急時においては、総会又は理事会の決議によらずに、敷地及び共用部分等の必要な保存行為を行うことができる。
第54条(議決事項)
第十号
災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等