第38回「民泊新法に対するあなたのマンションの備えは?」 ~民泊新法(住宅宿泊事業法)への緊急対応~
講師:東京都マンション管理アドバイザー 杉並マンション管理士会会員 大野 博見
はじめに
- 民泊新法(住宅宿泊事業法)は昨年の6月16日に公布され、施行期日を定める政令が昨年10月27日に公布された。
- これにより、本年6月15日からの施行とその3ヶ月前の3月15日からの事業届の受付開始が決定した。
- こうした状況を踏まえ、管理組合でも遅れることなく適切に対処する必要がある。
- なお説明資料は、国交省が全国6都市で開催した説明会の時に使用した資料(*)をベースに最新の情報等による追加・修正等を行ったもの。
(*)「住宅宿泊事業に伴うマンション標準管理規約改正の背景とポイント」
(国土交通省住宅局市街地建築課マンション政策室)
説明のポイントは次の4点である。
- 民泊新法(住宅宿泊事業法)の背景と概要
- 標準管理規約の改正
- 住宅宿泊事業法施行令、施行規則及び施行要領(ガイドライン)
- 住宅宿泊事業施行条例
配布資料は以下の通り
講演資料
「民泊新法に対するあなたのマンションの備えは?」~民泊新法(住宅宿泊事業法)への緊急対応~
別添資料
資料1.住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)の抜粋
資料2.新宿区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例
民泊新法(住宅宿泊事業法)の背景
背景・必要性
◯ここ数年、民泊サービス(住宅を活用して宿泊サービスを提供するもの)が世界各国で展開されており、我が国でも急速に普及。
◯急増する訪日外国人観光客のニーズや大都市部での宿泊需給の逼迫状況等に対応するため、民泊サービスの活用を図ることが重要。
◯民泊サービスの活用に当たっては、公衆衛生の確保や地域住民等とのトラブル防止に留意したルールづくり、無許可で旅館業を営む違法民泊への対応が急務。
1.民泊に関する全国実態調査結果 (厚生労働省調査)
2.民泊の問題
- 違法民泊の横行
- 宿泊者によるゴミの放置
- 宿泊者による騒音
- 共有部分の汚れ・破損等
- テロや窃盗団のアジトになる懸念
3.住宅宿泊事業法の制定以外にも様々な動き
○通訳案内士法の改正
- 通訳案内士の資格がなくても有償の通訳ガイドが可能に
- 従来の通訳士を全国通訳案内士と地域通訳案内士に
○旅館業法の改正
- 無許可の違法民泊への立ち入り検査権の導入
- 罰金の上限額を3万円から100万円に引き上げ
○割賦販売法の改正
- 不正利用が厳しいICチップ付きカードに対応した読み取り端末の導入を加盟店に義務付け
○総合型リゾート(IR)実施法の制定
- カジノ設置の手続きや規制基準を整備
○国際観光旅客税の導入
- 日本人を含め出国時に一人1000円の国際観光税を徴収
○免税制度の拡充
- 訪日客が免税になる条件を追加して対象を拡大
政省令、ガイドライン等において規定すべき主要な事項
住宅宿泊事業の届出の流れ
◎ おわりに(まとめ)
- 管理規約において、住宅宿泊事業を許容するか否かについて、明確化しておくことが重要である!
- 改正の手続が住宅宿泊事業法施行までに間に合わない場合は、少なくとも総会あるいは理事会において、住宅宿泊事業を許容するか否かの方針を決議しておくことが重要である!
- 来年3月15日からは住宅宿泊事業の届出が開始されるので、それまでに、管理組合として上記いずれかの決議を行うべく、速やかに検討を始めることが重要である!
2018年1月27日杉並区共催マンション管理セミナーの実施状況